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パリ・国立ピカソ美術館所蔵 ピカソ展

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パリ・国立ピカソ美術館所蔵 ピカソ展
上野の森美術館
開催期間:1999年3月13日ー6月14日
主催:フジサンケイグループ・(財)日本美術協会・上野の森美術館
サイズ:A4
表:パブロ・ピカソ <海辺を走る2人の女> 1922年


 パリのピカソ美術館にはその女性が躍動する1点がある。
 『浜辺を走る2人の女』と題された作品でフランス北西部、ブルターニュで過ごした時に描かれたものだ。
 ピカソはこの作品を描く5年前にロシアバレエ団の舞台美術、衣装を手がけた。そこでバレリーナのオルガ・コクロ-ヴァと恋に堕ち、結婚する。やがてオルガはピカソの子供を出産する。ピカソは妻の妊娠に驚き、出産を見て筆を取った。この作品はオルガの母性と肉体の強さを表現したと言われる。この2人の女性をよく見ると、遠くにある手が大きく、近くにあるはずの手がちいさかったり、水平線がふくらんでいたりする。でもそれが少しも気にならないのは、彼女たちがギリシャの女神のように逞しく、野生のままに歓喜している様子が真っ直ぐ伝わってくるからだろう。
 それにしてもこんなに豊満な肉体がかくもみずみずしく見え、可愛く映るのはなぜだろうか。
 ピカソは言っている。
 「私は見るものを描く。ある時には、ある形で、他の時には他の形で。私は考え込んだことが無いし、試してみたこともない。何かを言いたいと感じた時には、感じた通りにそれを言う。絵画に中庸はない」 (伊集院静 『美の旅人 フランスへ』 小学館 2007年)

by ephemera-art | 2017-02-26 00:00 | 上野の森美術館