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もうひとつのパリコレ パリ市近代美術館展

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もうひとつのパリコレ パリ市近代美術館展
安田火災東郷青児美術館
開催期間:1999年6月5日-8月15日
主催:財団法人安田火災美術財団・産経新聞社
サイズ:A4
表:(中央) アメデオ・モディリアーニ <扇を持つ女、ルニア・チェホフスカの肖像> 1919年


 画家の死の前年の作品で、この前にも彼はルーニアを描いているが、この年(一九一九年)モディリアニはこれ以外にも五点の彼女の肖像を残している。モディリアニには珍しく、彼はここでモデルに小道具(扇)を持たせているが、それによって画面にはロココ的ともいうべきエレガンスがそこはかとなく漂っている。
 ロシア出身のルーニア・チェホウスカは画商のレオポルド・ズヴロフスキーの親しい友人で、したがってモディリアニとも頻繁に顔を合わせる間柄であった。彼女の夫は詩人でもあり、革命家でもあったが、モディリアニが彼女と知り合った頃は軍隊に服役していた。C・マンによれば、彼女は、「華奢な体で、卵形の顔ととがった顎をもち、スラヴ的な高い頬骨と、目尻の上がった青い目をしていた」。
 彼女の数多くの肖像が示唆しているように、モディリアニはルーニアに特別の好意を寄せていたようであるが、この頃彼にはジャンヌという立派な妻がいた。二人の親密な関係に一時はジャンヌもかなり神経をとがらせたようであるが、夫ある身のルーニアが分別をなくさなかったおかげで事なきを得た。
 なお、この肖像が描かれたのはズヴロフスキーの家で、赤い壁紙もそのまま再現されている。 (高階修爾監修 『パリで出会う名画50』 小学館ショトル・ミュージアム 1996年)

by ephemera-art | 2018-02-06 00:00 | 損保ジャパン日本興亜美術館