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チャルトリスキ・コレクション展

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レオナルド・ダ・ヴィンチ 白貂を抱く貴婦人 チャルトリスキ・コレクション展
松坂屋美術館
開催期間:2001年11月3日ー2002年1月6日
主催:NHK名古屋放送局・NHK中部ブレーンズ・中日新聞社・松坂屋美術館
サイズ:B5

 
 ダ・ヴィンチが描いたとされる女性肖像画は、数点しかなく、そのうちの貴重な一枚です。描かれているのは、ミラノ公ルドヴィコ・スフォルツァ(イル・モーロ)の愛妾だったチェチリア・ガッレラーニだとされています。
 彼女が抱いている白貂のギリシア語が「ガレー」で、彼女の名前ガッレラーニを表すとともに、スフォルツァ公のあだ名、白貂(エルメリーノ)を意味しているそうです。ダ・ヴィンチは『ジネヴラ・デ・ベンチの肖像』の背景と絵の裏にジネープロ(西洋杜松)を描いたように、聖人に持物(アトリビュート)を描くように、肖像画の主を示す手掛かりを描いていたのです。十五世紀後半に流行った髪型からのぞく顔は、かわいらしくて聡明そうな美人です。(平松洋 『【名画】絶世の美女』 新人物往来社 2011年)


 レオナルドの肖像画といえば、現在ルーブル美術館が所蔵する『モナ・リザ』(1503~06)があまりにも有名です。その『モナ・リザ』と並ぶレオナルドの代表的な肖像画として、このチェチリア・ガッレラーニの肖像画があります。
 チェチリア(1473~1536)は、ベアトリーチェの夫ルドヴィーコの結婚前の愛人でした。この絵が描かれたころは16歳くらいでしたが、当時から才色兼備な女性として称賛の的でした。ちなみに白テンはルドヴィーコの象徴《白テンの勲位》であると同時に、自身の身体が汚れることを嫌う動物であることから、純潔の象徴でもありました。そして白テンを意味するギリシャ語「ガレー」は、彼女の姓ガッレラーニを指しています。
 この絵を制作中、チェチリアは宮廷の庇護下にあった知識人を集め、レオナルドとの会話を楽しみました。若いながらも成熟した気品あふれる表情からは、レオナルドが彼女のことを高く評価していたことが、ひしひしと伝わってくるように感じます。
 チェチリアが招いた知識人・芸術家の集まりは、ヨーロッパのサロン文化の原点とされています。しかしルドヴィーコとベアトリーチェの政略結婚後、彼女は持参金とともに宮廷を去り、ベルガミーニ伯爵に嫁いでいきました。 (木村泰司 『美女たちの西洋美術史』 光文社新書 2010年)

by ephemera-art | 2017-03-19 00:00 | 松坂屋美術館