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カテゴリ:新潟県立歴史博物館( 1 )

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浮世絵でみる!お化け図鑑
新潟県立歴史博物館
開催期間:2019年4月20日-6月2日
主催:新潟県立歴史博物館・新潟日報社・NST
サイズ:A4
表:葛飾北斎 <百物語・木幡小平次>


 団扇型の銅盤を打ちつけたような形の題簽に「こはだ小平二 百物語 前北斎筆 鶴喜板」とあり、版元が鶴屋喜右衛門であることまで書いてあります。版元は通常版元印を画中に摺り込んで示すのですが、本図では題名と一緒に表浮きされており、特別な出版意図を想像させます。大判より小さな中判という版型も特別仕立てを思わせます。小さな画面に細かな趣向を凝らそういう北斎の意欲を感じます。
 百物語というのは、夜に数人が集って燈火をともし、一人一話の怪談を話しては一燈ずつ火を消してゆき、最後にすべての明りが消えると幽霊が出るという、肝だめしの遊びです。従って、多くの怪談に取材した絵が描かれるはずですが、実際はこのシリーズ、現在のところ五図しか発見されていません。今伝わる五図は、いずれも北斎の妖怪画としての完成度が高く、奇趣に富んだものといえます。
 本図は「小幡小平次死霊物語」という角書をもつ山東京伝作の読本『復讐奇談安積沼』に取材したものです。小平次は江戸の役者で、彼の妻と密通した太鼓打ちの安達左九朗に旅興行の帰途、安積沼に突き落とされて殺されてしまいます。しかし、小平次は怨霊となって左九朗を悩まし、非業の死を遂げさせるという筋です。本図はまさに髑髏となって小平次が蚊帳越しにのぞきこもうとするところです。うらめしそうな上目づかい、きつく閉じた口もとの奇妙に美しい歯並び、首にかけられた骨をつなげたような数珠が、立ち昇る妖気にカタカタと音をたてそうです。髑髏にはびこる毛髪の描写が不気味さを増します。 (安村敏信 『浮世絵に遊ぶ』 1997年 新潮社)

by ephemera-art | 2019-11-02 00:00 | 新潟県立歴史博物館 | Comments(0)